大崎八幡宮では、毎年水無月(陰暦6月)の最後の日になると、神殿前の参道に、人がくぐれるような大きい輪を立てて参詣者を迎える。この輪は、萱や藁を束ねて作った「茅の輪」といい、夏越し御祓いに用いる。ここを訪れる善男善女が、作法に従って輪を通り抜けると、その夏の災厄は免れるといわれ、京都の祇園社では平安時代から続いている。
大崎八幡宮の「茅の輪」
八幡宮の社叢や周辺で見られるキイチゴ類
種名 |
特徴 |
果実 |
ニガイチゴ |
高さ2m以下、茎は立ち分枝し鋭いトゲがある。 |
紅熟 |
クマイチゴ |
高さ2m以下、茎は直立または斜上、全体にトゲが多い。 葉は広卵形。ときに3~5浅裂。花弁白色、熊がこの果実を好む。 |
紅熟 |
モミジイチゴ |
高さ2m以下、茎は直立斜上し、トゲが多い。 |
黄熟 |
カジイチゴ |
高さ2m以下、茎は分枝し、全体緑色をおび、ツヤがありトゲは少ない。 |
橙黄熟 |
ウラジロイチゴ |
高さ2m以下、全体に剛毛が生え、別名エビガライチゴ。 葉は3出葉で裏面白色。総状花序で、花弁は白~うす紅色。 |
紅熟 |
クサイチゴ |
高さ0.5m以下、トゲは細く葉や枝に短軟毛を密生。 |
紅熟 |
ナワシロイチゴ |
高さ1.5m以下。茎はアーチ状に伸び、トゲを散生。 葉は3~5小葉で裏面白色。花弁は紅紫色。苗代作業の頃に咲く。 |
紅熟 |
キイチゴ属の地上部は、1年で枯れるものから数年生きるものまであるが、大半は2年を寿命とする。つまり、1年目は枝を伸ばして葉を展開し、2年目に開花、結実して枯れる型が多い。花が咲いて茎が枯れるのは、草の特徴であり、茎は木質化してはいるものの、キイチゴ属は基本的には、草本の性質を持っているわけである。「竹は木か草か」の命題は、今でも我々を悩ませているが、キイチゴに関しては、草ということで解決済みということになる。
赤く熟したクマイチゴの実
「木苺」は初夏の季題である。俳句では果実の成熟する時期に視点を合わせている。ただし、近代に入ってから使われた季語のようで、江戸期の句は見つかっていない。
木苺は前にも述べたように40種にも及ぶキイチゴ属の総称である。しかし、仙台市周辺で人気のあるのは、モミジイチゴで、他のキイチゴ類には、あまり興味がないようである。葉の形がモミジに似るのでこの名があり、果実は文字通り黄苺で、わずかな酸味と十分な甘味があって、そのみずみずしさはキイチゴ属では最上である。林縁部や林道の沿線に生え、手ごろな高さに実るので、里山の子供たちにとっても重要なおやつになっている。
黄色の実が特徴的なモミジイチゴ
モミジイチゴの1年目の茎(緑色)
と2年目の茎(褐色)
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