明けましておめでとうございます、本年もよろしくお願い申し上げます。
さて、早速本題に入らせて頂くが万葉集には次の歌が載っている。
道(ふな)祖(ど)王の歌で、歌中に「どち」(仲間のこと)や「い」(意味を強め語調を整える接頭語)などの古語が使われているので、いささか難解であるが、大意は新しい年のはじめに気の合った者たちが集まって話し合うことは楽しいことだという新年会の歌である。
恒例の宮十グループの新年会は、仕事始めの1月5日、本社会議室で開催され、今年1年の安全となお一層の親睦を深めることを誓い合い、盛況のうちに御開きとなった。
新年会の翌日、地元の神様である大崎八幡宮へ参詣にでかけることした、晴天無風の日であったためか、ほかにも初詣の参拝客が多く参道を行き来していた。すがすがしい気分で正面の石段を登っていると、階段の脇にルビーのように赤く輝くアオキの果実が目に入った。
深緑色の葉かげにつやつやと輝く紅色の果実は,冬枯れの中に貴重な色彩をかもし出していた。アオキは耐陰性の強い樹種として知られ、実は大崎八幡宮を取り巻く老杉の境内林の内部に、たくさん自生しているのである。
アオキは岩手県以南の本州、四国、九州の山林内に自生する常緑低木である。ミズキ科の植物であるが、この科の植物のほとんどが両性花であるのに対し、アオキは数少ない雌雄異株の繁殖形態をとる。
樹型は株立ち状になり、枝は緑色でごつくて太い。葉は対生につき葉身は大きな楕円形、光沢のある深緑色で縁には粗い鋸歯がある。早春、枝先に紫褐色の小さな花弁の花を多数円錐状につける。雄株につく花には雄しべが4個、雌株の花には雌しべだけが1個つく。雌株の花は後に長さ1.2~2cmの楕円状の果実となり、厳冬期に赤熟して翌春の開花期まで残る。県内では丘陵帯の山林内に自生し、陰樹という特性からスギやヒノキなどの植林地の林床に多く分布する。濃緑の枝葉と深紅の漿果とのコントラストが美しく、実用的な庭木として、目かくし、下木、根締めなどに植栽されている。
アオキには冬青樹、冬青、万年枝などの漢字が当てられていたが、現在は、そのまま青木で通用する。これは勿論、若枝や葉が濃緑であることから来た名である。一方、中国では桃叶珊瑚と書く。叶はわが国では思い通りになるという意であるが中国では葉の簡字体として使っている。
国際的に通用する植物学上の学名はAucuba japonica Thunb.でスウエーデンの植物学者ツンベルギー博士の命名による。博士が18世紀末、日本にやってきたとき、はじめてこの樹木を見て、関西方面で呼ばれていた方言のアオキバをそのまま属名にしたといわれる。博士はこのアオキをヨーロッパへ持ち帰ったところ、非常に人気が高まり、今では庭園樹として広く栽培されている。
アオキの葉は正式な漢方薬ではないが、腫れ物や火傷に良く効く民間薬として知られる。
処方は、アオキの新葉を弱火で炙り、黒変させて柔らかくなったものを患部に塗付すれば良い。また昔から胃腸薬として有名なキハダを主原料として作る奈良の陀羅尼助にもアオキが使われている。
寒さが厳しくなるほど紅色の濃さを増すアオキの実は冬の季題である。多くの句が作られているが有名なものとして次の句を紹介する。
変種のヒメアオキは北海道及び日本海型気候の多雪地帯に分布する。アオキより背丈が低く葉も小型で葉の裏面に伏毛のある種である。宮城県では山地帯のブナ林の林床に多く見られ、丘陵帯のアオキとは明らかに住み分けて分布している。アオキにはこの他フイリアオキ、シロミアオキなど30を越える品種が知られている。